コストダウンと安全について

最近身の回りで大きな事故が多発しています。現場での作業中に貴重な命が一瞬で消えてしまう事故。こうして言葉にすると非常に短いが、もちろん現実は大問題なのです。

「行って来ます」というって出て行った人が帰宅する時には息絶えている。この現実を受け止められるであろうか?絶対に絶対にあってはならない事です。でも・・・事故を起こそうとして起こす人間はいない。ヒューマンエラーや点検不足などいろいろ言われるが、事故の根本には個々の油断があるのでは無いでしょうか?

あっ!と言った時には時既に遅し。いつも朝礼で社員に話しているが起こした後の後悔をするのは誰でも出来る事。それぞれの人が「絶対に事故を起こさない」という心づもりが常に必要なんだと管理人は思っています。



さて・・・最近の事故に関して自分を振り返って「コストダウンと安全」について自省することも多い。いつも手伝ってくれている協力会社と新規の協力会社を選定する歳に「価格」のみにこだわっている事が多いから。

業者を選定する歳に一番の材料は「価格」である。見積もりを取って一番安い会社に仕事を依頼する。これが一般的で至極当然の成り行きです。しかし・・・ホントにそれでいいのだろうか?

特殊な作業・・・特にその現場や仕事の特異性「ルールや規則」をしっかり教育され慣れている協力会社と直接の仕事の事意外は何も全く知らない新規の会社では現場の流れは大きく違うのでは無いだろうか?価格は多少高いが、必要な書類をすんなり準備し、必要な安全活動を自然に行い、その会社・現場のルールを熟知している協力会社。もちろん長年付き合って人間関係もしっかりできているので意見交換もスムーズである。それに引き換え価格は安いが、ルールや安全手順を一から教えなくてはならない新規の会社。どちらを選ぶのが適しているのだろうか?

もちろん経営面から考えれば価格の安い業者を選ぶのが当然であるけれども・・・

長年の協力関係にあってその間にしっかりと教育されてきているのは前者のほうである。安全という担保は新規の業者よりもはるかに高いはずである。

全ての新規業者がいけないというのではもちろん無いが・・・価格を抑えた分を何とか取り返そうとするのは当社も同じ。工期を詰める・使用資材を少なくする・点検されたリース機材を抑えて古くても自社所有のものを使うなど・・・様々な削減を行うのではないでしょうか?

もちろんそれが致命的な安全を犯すものではないのですが・・・焦りや緊張が事故を誘発する一要因になっている気がします。


「コストダウンと安全」・・・あえて今回はこの話題に触れましたが、事故の全てにおいて通ずる問題であるように感じます。いくらルールや規則・書類を増やしても事故は減るものではありません。そして予算をいくら増やしても事故は無くなるものではありません。


でも、その事故の根本に流れるコストダウンについては誰も口を開かないのです。

締め付けることにより現場は萎縮し、現場は滞り、更に心の余裕をなくします。それによって生産性が上がらず賃金などの生活に対するプレッシャーで極度の緊張を強いられるのです。

今の現状は仕事を安全かつスムーズに流すことに集中するのではなく、その他の事に対して神経を尖らせていなくてはいけない現状があるように感じます。

今、管理人は様々な事故を自分の事として、もう一度見つめなおしています。「コストダウンと安全」この相反するであろう問題をいかにしてバランスさせていくか・・・それが経営者に与えられた永遠の課題であると管理人は思うのです。