デフレからの脱出

gokaken2006-01-10

昨年から耐震偽装問題が大きく取り上げられている。ヒューザー木村建設・総研・姉歯イーホームズなどそれに関わった人たちが証人喚問・参考人召致など原因追及に力を注いでいる。しかし・・・我々建設施工者側から見る本質的な問題点は何なんだろう?と考えてみた。
そもそも今の日本の状況は「安ければ全て良し」という考え方が一般的で、高くても良いものをという考えは建設業界においてはあまり感じない。
特に建設業界は見積において叩かれることが多いし、その要望に沿わなければ受注できない。受注するためには原価を抑えて経費を抑えての見積になる。
しかし、削るにおいても限度がある。それに企業であるからには利益を出さないといけないが、現状はほとんど利益はなくて会社の営業経費を捻出できればよしとしているのだ。
当然市場では原価に経費を載せてその上に利益をのせている。ほとんど全ての商品がそのような流通をしている。テレビ・車・おもちゃ・・・
しかし、建設業は大量生産してコストカットすると言うことは当然できない。きちんとした品質の材料・製品を仕入れてそれを技術者のノウハウと知識できちんと組み立てる。やはり良いものを提供させていただくにはそれなりのコストがかかってしまう。
ただ、同じものを作るといっても施工業者の工事のやり方次第でその価格は大きく変わってしまうので一概に適正価格はいくらとも言いにくい。
より安く・より高品質と思っていてもその価格を下回る見積を出す企業もたくさんある。上述のようにそれが全て悪いと言うわけではないが、今回の耐震偽装問題のようにあまりにも低価格な金額は要注意だと思うのだ。
特に当社もそうだが、公共工事を施工している業者はほとんど手抜きや偽装はやれない。なぜなら発注者側のきちんとした管理の下で行っているし、その検査も検査専門部署から詳しい知識を持った検査監が来て検査される。鉄筋の量・そのピッチ、コンクリートの厚さ・強度など完成検査の時には膨大な資料とそれを証明する写真を添えて提出する。
 
またその施工段階ではコンクリートの中に埋まってしまう鉄筋や基礎杭など壊さなくては見ることができないものは段階ごとに検査をし、確認してもらっている。そしてその写真も証明できるように多量に撮影する。だからこそ国民の皆様の血税を使わせていただいて良質な社会資本を残すことができる。

建設産業もデフレスパイラルから抜け出せる日が来るのだろうか?そしてイメージダウンしてしまった公共工事は見直される日が来るのだろうか?その中で仕事へのやりがいを見つけて少しでも明るい光が見える日を心待ちにしている管理人である